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真夜中のナースコール

昨晩泊まりに来てくれた少し若い友人はつい最近結婚したばかり。酒を飲みながら独身の頃の話に花が咲いた。彼が難しい病気で入院していた時の話が面白かった。病院では6人部屋だったが、ある晩急に熱が出て息苦しく、しかし我慢できなくはないのでジっと朝の来るのを待っていた。すると向いのベッドの方でガタンと大きな音がした。何かが落ちたような音なのだが、お互いのベッドはカーテンで囲われているので様子が分からない。こっちは頭も痛いし、見に行く気力もないのでほっておいたらいつの間にか寝てしまった。朝になった。いつものように看護師さんが部屋に入ってきたが、いきなり「ギャ~ッ」と異様な声をあげ、引き返していった。どうしたのかと思う間もなく、数名の医師と大勢の看護師がドヤドヤとやってきて、またもや驚いている。彼はまだ頭が痛くて起き上がる気力もないが、「自殺」という声が聞こえてビックリしたそうだ。耳をすませて聞いていると、どうやら昨夜のガタンという大きな音は、向いのベッドの方が点滴の紐を使って首吊りをしたのだということが分かった。すぐに警察も来た。しかし病院では時々起こることらしく、事情徴収と実況検分が簡単になされ、すぐにキレイに後片付けもされて、それ以上騒ぎは大きくならず、何事も無かったかのように終わった。
さて、そこは救急指定病院だった。その晩彼が寝ていると、なんと今朝自殺者が出たばかりのベッドに患者が運び込まれた。他のベッドに空がないので仕方がないことだったらしいが、そんなことも又、病院ではしょっちゅうあることのようだった。
夜遅くになって、そのベッドからナースコールが押された。あわてて看護師が駆けつけてみると「え?ナースコールなんか押してませんよ」とそのベッドに運び込まれた患者は言うのだった。そんなことがその晩何度も続いた。向いのベッドでその様子を蒲団の中からうかがっていた彼は「そのボタンを押したのはきっと・・・」と考えて震えていたそうである。
やっと朝になった。看護師に「昨日の晩は恐ろしかったでしょう」と震えながら訊ねると、意外や意外「あの方(死んだ方)も私達にきっと会いたかったのでしょうね~嬉しかったです」と微笑んで言葉を返すではないか!?「私達も、本当はもっと何かしてあげることがあったんじゃないかと考えると悲しいのですが、あのようにして会いにきて下さると何か嬉しいのです」というのだった。その看護師は死んでしまった患者さんに対して、精一杯やれることはやってきたと誇りと自信を持っているらしい。だから「病気を苦にして死んでしまわれたが、その方はきっと看護士のわたし達に対しては恨んでいないはずだ、私もその方に会えるものならもう一度あって一緒に楽しいお話がしたい、だから昨晩のあのナースコールは、その意思が通じて、きっと会いにきてくれたんです」、と考えているのだった。
彼はそのことに驚いた。自殺者は怨念でボタンを押したのではなく、会いにきてくれたのだから少しも怖いことはないと、自分だったら考えられるだろうか。
何が起こるか分からない病院という世界で、そのように現象を捉えて考えることはむしろ正解で、だからこそ前に進むことができるのかもしれない。看護師というのはたいしたものだなぁと思った、というのですが、よく観察していると、自分を担当してくれているその看護師だけが特に強くそのような明るい前向きの考え方をしているらしいと気付いた。
それからその看護師といろいろ話すようになったが、「個室の場合は」という話をしてくれた時にまた驚いた。「個室の患者さんは、その個室を患者さんのカラーに染めるのです」「部屋の空気そのものが、その患者さんになるのです」「入室した瞬間に、あ、この患者さんはこうだな」と患者の性格や気質、ものの考え方。時にはどうやって今まで生きてきたか、さえ分かってしまうこともあるのだというのです!。しかもなんとそれは患者さんが亡くなったあとも続くのだそうで、その個室へ入ると、「あ~この部屋、暖かいなぁ、患者さんはそういえばあたたかい人だったなぁ」などなど、看護師なら皆一様に感じることができるのだとか・・・・。
ふ~んと感じ入った彼はしかしその能力は、やはり自分を担当している看護師に一番顕著であることを悟った。日常他の患者さんにどのように接しているかをみればそのことがすぐ分かってしまう。どんな患者さんにもあたたかく接している看護師は、病院で起こる様々な事柄(奇妙で不思議な現象も含めて)に対しても、あたたかな平常心で接することができるのだった。

数ヵ月後、彼は退院した。退院後も奇跡の様なことがその看護師との間に起こり、紆余曲折を経て彼はその看護師にプロポーズして、実った。

昨晩は、その彼女を紹介方々、泊まりに来てくれたのだった。
彼は、入院するはめになった難病に感謝している。
彼女は、相変わらずあたたかい人柄で、コタツDE星見をしながら、奇妙な話や不思議な出来事の会話に「平常心で盛り上が」ってくれたのだった。
私は、久々のコタツDE鍋(雲っていて星はでなかった)を満喫したのでした。
そして我家はまた一人、奇妙なコトをあたたかく語れる「ヘンな人」を顧客に持ってしまったのだった♪
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コメント

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う~む、もはやこれはP・ペアハットではなくP・パワースポットとすべきではないでしょうか、ウムムム実に興味深い。

ものすごく説得力のある、興味深い話ですね。この世界に偶然というものは無く、すべては必然・・・。

kikoriさん、ホント世の中不思議です。
で、
もし入院したら個室はお互い気をつけましょうね、だって看護師に「あ、この人はこういう性格で、こういう人生をおくってきたな」と、ばれちゃいますから・・・。

ケンシロウさん、こんばんは。
昨日、星がキレイだったのでケンシロウさんはきっと又庭で寝てるぞと、なんとなく想像していたのですが、今日本屋に行ったら今月号のビーパルの特集が「星空の下で寝よう」でした。

いい話ですねぇ。とても感銘しました。
こういう方がいっぱいいると世の中はもっともっと明るくなる。
自分の義母も元看護師で、妻と結婚して知り合ってあうたびに菩薩のような方だといつも思っていました。
看護師さんはその仕事柄、こういう方が少なからずいるということでしょう。
自分もこの看護師さんのようでありたい。少しでも近づきたいです。

ペアハットさんのその友人は素晴らしい出会いでしたね。
こういういい話は広めたいです。僕もどこかで聞いた話として話したいです。

野牛さん、今晩は。
是非ひろめて下さい
私も目の前にいる彼とその奥さん(看護師)、おふたりから直接その話を聞いたときは感動でした。お互いに時々目を見ながら、頷きあいながら一生懸命話している姿は「あ~お互い信頼しあっているのだなあ」と伝わって、とても気持ちがよかったです。よけいに話がストンと腑に落ちました。

自分がどこから来てどこへ行くのか・・・・・・。

魂とは、肉体とは、無限の宇宙とは・・・・命とは・・・etc

こんなことを考え出すと、チマチマとした現実がウソの世界に見えてくる。

毎日、命と向き合う仕事をしていると、私たちとは違った感性が研ぎ澄まされてくるのでしょう。人によって・・・・・・。

こんちゃん、様、
私はチマチマした現実に生きる一人として、そうであっても感性を研ぎ澄ましたいなぁ、と願っています。きっと出来ます。
一つの方法としてなるべく多くの「人」と向き合うことによってそれが達成されると思うのです。が、時々「人」と向き合うと「チマチマした現実」の方へ導かれる場合がありなかなかややこしいです。「人」と「命」とどこかが違っているからなんでしょうかねぇ・・・。